渡部尚子学術集会会長 渡部尚子学術集会会長

2020年は、新型コロナウイルスの出現により社会は過去に例を見ない影響を受けました。この未曽有の困難な中、第34回日本看護歴史学会学術集会を準備し誌上という形で学会開催を実現してくださいました金井一薫会長はじめ関係者の皆様に心から敬意を表し感謝申し上げたいと思います。

さて、コロナウイルスの影響はいまだ続いており、第35回学術集会は日本看護歴史学会として初めてのWeb開催となりました。理事会のご英断、会員の皆様のご期待に応える学術集会となりますよう、努力してまいります。

今回のメインテーマは「看護高等教育の源流を探る-過去をとらえ未来につなぐ看護史・自校史の仕事-」です。看護の高等教育はおよそ100年前に聖路加女子専門学校がその端緒を開きました。多くの女子が小学校卒業で学業を終える時代に、入学資格を高等女学校卒としたのです。大学開設第一号は、1952年高知女子大学家政学部看護学科でした。続いて翌年、東京大学医学部衛生看護学科で、それからの30余年の間に開設された看護系の大学はわずか10校、そして1990年代半ばから現在の300近い看護系大学が一気に開設されました。

看護高等教育の拡充は、設置大学の増加とともに教育・研究の高度化を支える大学院の開設も必須でした。その道のりは、看護職能団体・看護系大学等団体の地道な支援・推進の活動により進められました。この内容については、両方の立場を経験された神戸市看護大学・南裕子学長にご講演をお願いしています。

歴史は、普段身近に感じることは少ないでしょう。特に看護系の大学では、学部や学科の設置の多様さ、開設まもない大学が多いこと、教員の流動性が高いことなどから、歴史を遺すことに意識が至りにくいのではないかと思います。こうしたアーカイブズ活動と学生に伝えていく自校史教育の出発点を、立教学院展示館・豊田雅幸学芸員がご講演くださいます。この二つのテーマは交流セッションにおいても取り上げ、事例をご提供いただいて、語り合う予定です。

さらに、特別講演は、渋沢史料館・井上潤館長に日本の経済活動を近代化したことで知られる渋沢栄一についてお話しくださる様お願いしています。新一万円札の肖像、2021年大河ドラマ主人公として関心がある方も多いと思います。渋沢栄一は、聖路加国際病院の評議員を務めるなど、福祉や教育の分野にも多くの支援・足跡を残しています。

新しい道を切り開いてきた方々に学び、この歴史を、今日、看護高等教育の恩恵を受けている人々に伝え、次なる発展を考える機会としていただけたらと思います。

変化する社会環境・ツールのもと、会場開催に劣らない活発な発表・交流の場となりますよう、努めてまいります。皆様のご参加をお待ちしています。

1930年(S5) College of Nursing 実習画像